通気パネルは半年ごと、石と煙突は年に一度。
岩手県の冬は長く、盛岡でも12月から3月まで氷点下の朝が続きます。この時期に薪サウナヒーターの調子が悪いと分かっても、雪の中で部材を取り寄せたり、屋根に上って煙突に手を入れたりするのは骨が折れます。積雪で煙突トップまで届かず、春まで待つほかなかったという話も珍しくありません。
ですから点検は秋のうちに済ませます。9月から10月、まだ屋根が乾いていて日も長い時期です。この段階で消耗している部品が見つかれば、注文して届くまでの時間にも余裕が生まれます。ハルビアの純正部品は取り寄せになるものもあり、真冬に急ぐと選べる手が減ります。
点検は、専門の道具がなければできない作業ばかりではありません。目で見て、手で触って、においを嗅ぐ。それだけで分かることが半分以上を占めます。年に一度、火を入れる前のこの時間を習慣にしておくと、シーズン中の安心感がまるで違います。
薪サウナヒーターは、下から入った空気が燃焼室を通り、煙突へ抜けていく流れで燃えています。この流れが細くなると、同じ量の薪を焚いても温度が上がりません。ハルビアの取扱説明書でも、通気パネルは6ヶ月ごとに点検するよう案内されています。損傷や摩耗がないか、変形して隙間が広がっていないか、灰で塞がっていないか。空気がきちんと巡っていれば、同じ薪の量でもよく温まります。
同じタイミングで、ヒーターの外装も確かめます。ひび割れ、錆、ぶつけた跡。鋼板は薄い錆なら表面で止まっていることが多いのですが、雪や雨がかかる屋外設置では進みが早くなります。風の当たる面と当たらない面で錆の出方が変わるので、裏側まで回り込んで見るのがおすすめです。
半年ごとという間隔を日本の暮らしに当てはめると、春と秋になります。春はシーズンの疲れを確かめる点検、秋は冬に備える点検。この2回で十分に足ります。
灰は使うたびに片づけます。溜まった灰は空気の通り道を狭め、燃焼室の底を熱にさらし続けます。ロストル(火格子)の下に灰が積もると、本来下から入るはずの空気が回らず、薪がくすぶって煙ばかり出る状態になりがちです。
何より大事なのは、完全に冷めてから捨てること。薪ストーブのお客様にも毎年お伝えしていることですが、灰は表面が白くなっていても内部に熱を抱えています。翌日でも、ときには数日後でも、かき混ぜれば赤い熾が顔を出します。紙袋やビニール袋、段ボールに入れるのは避けてください。蓋のできる金属製の灰バケツに移し、燃えるものから離れたコンクリートの上などに置いて、しっかり冷ましてから処分します。屋外サウナなら、雪の上に直接あけるのも避けたほうが安全です。溶けた雪が水になって周りに流れ、灰が熱を抱えたまま残ることがあります。
冷めた木灰は畑の土に混ぜたり、山菜のあく抜きに使ったりと、東北では昔から使い道のあるものです。捨てる前に少し取っておくのもいいと思います。
サウナストーンは、火の熱を受け止めて蓄えておく部品です。石は蓄熱にすぐれ、蓄えた熱を、水がかかった瞬間に一気に手放します。これが良質なロウリュの正体です。ところが石は、加熱と急冷を繰り返すうちに少しずつ疲れていきます。表面が粉をふいたようになり、細かいひびが入り、やがて欠けて崩れます。
点検は年に1回。全部おろして、平らなところに並べてみてください。ひびの入ったもの、角が欠けたもの、手で押すとぼろりと崩れるものは交換します。崩れた粒が隙間を埋めると空気が通らなくなり、ヒーターの効率まで落ちてしまいます。並べ直すときは、石どうしが噛み合いながらも空気の抜け道が残るように置きます。ぎゅうぎゅうに詰めないことが、蓄熱と燃焼の両方に効きます。
当店ではハルビア純正のサウナストーンを、φ5-φ10の20kg入り、φ10-φ15の20kg入り、そして丸型φ5-φ10の15kg入りで扱っています。角のある石は隙間ができて熱が回りやすく、丸型は注いだ水がなめらかに流れ落ちます。お使いのヒーターと好みに合わせてご案内できますので、交換のときはご相談ください。
煙突は年に1回、煤とタールの付着を確かめます。岩手で長年、出張の煙突掃除にうかがってきた実感としては、年1回が確実です。数年に一度でよいという考え方もありますが、1シーズンでどれだけ溜まるかは薪の質と焚き方でまるで違います。開けてみるまで分からないものを放っておくより、毎年開ける方が気持ちよく冬を迎えられます。
そして煤とタールの量を決めているのは、ほとんど薪の乾燥です。水分の多い薪は、燃焼で生まれた熱の多くが水を蒸発させることに使われ、煙の温度が下がります。温度の下がった煙が煙突の内壁で冷やされると、そこでタールが凝結して貼りつきます。黒くてべたつく、あの厄介な汚れです。割ってから最低でも1年、広葉樹なら2年は風の通る場所で乾かした薪を使う。これだけで煙突の中はまるで変わります。
汚れがひどいときは無理をせず専門の業者にお任せください。当店も出張での煙突掃除を承っています。
よくある不調には、たどる順番があります。温まらないときは、まず空気の入口とサウナストーンの状態から。灰が溜まっていないか、石が崩れて隙間を埋めていないか。次に薪です。湿った薪では、どれだけ時間をかけても室温は上がりません。
室内に煙が出るときは、煙突のドラフト(上昇気流)を疑います。煙突の詰まり、冷えきった煙突、サウナ室が密閉されすぎて新しい空気が入ってこない状態。焚きはじめに煙が逆流するようなら、新聞紙を一枚燃やして煙突を温めてから本焚きに移ると落ち着くことがあります。冬の岩手のように外気が冷えている日ほど、この一手間が効きます。
着火しにくい、においがする、水が漏れる、錆が出る。どれも原因は一つではなく、薪、空気、煙突、そして設置状況のどこかに理由があります。ご自分で切り分けるのが難しいときは、症状と写真を送っていただければ、見当をつけてお答えできます。
薪サウナヒーターは、手をかけた分だけ長く応えてくれる道具です。半年ごとに空気の通り道と外装を見て、毎回の灰は冷ましてから片づけ、年に1度サウナストーンと煙突を確かめる。書き出してみると少なく見えますが、この繰り返しが10年後の差になります。岩手・秋田・青森で薪サウナヒーターをお使いの方、これから設置をお考えの方、どちらもご相談ください。有限会社D'STYLEは盛岡市のハルビア正規代理店として、サウナの設置工事から出張での煙突掃除、サウナストーンの交換までお手伝いしています。雪が来る前の秋に、ご一緒に見てみましょう。
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