サウナヒーターへの接触と転倒を防ぐ、木の柵の話。
ヒーターガードは、サウナヒーターの前面や側面に立てる木製の柵です。役割はいたってはっきりしていて、人がヒーターに直接触れないようにすること。電気サウナヒーターのハルビア デルタ3やシリンドロでも、薪サウナストーブのハルビア エム3やレジェンド150/240でも、本体もサウナストーンも運転中はしっかり熱を持ちます。とくに薪式は本体の側面まで熱くなりますから、うっかり肩や肘が当たるだけでも危ない。柵は、体が当たる前に止めてくれる一枚です。
もう一つの役割が、転んだときの事故を減らすことです。じゅうぶん温まった体でベンチから立ち上がると、足元が思ったより頼りない、という経験は多くの方にあるはずです。そこでふらついて手をついた先がヒーターだったら、と考えると背筋が寒くなります。ハルビアの本国サイトでも、保護柵の意義として「接触を防ぐこと」と「転倒時の事故を避けること」の二つが挙げられています。派手な装備ではありませんが、効くときには確実に効く道具です。
保護柵の価値がいちばん分かりやすいのは、小さなお子さんのいるご家庭です。子どもの目線はそもそも低く、大人にとっての「腰の高さのヒーター」は、子どもにとって顔の高さの熱源になります。走らないように、触らないようにと言い聞かせるより、触れられない造りにしておくほうが、親としても心穏やかにサウナを楽しめます。
ご年配の方にも同じことが言えます。手をかけられる場所が近くにあるという安心感は、それだけで体験の質を変えます。「危ないから遠慮しておく」ではなく「安心して入れる」に変わる。せっかく家にサウナを設けるなら、家族の誰もが同じように使えるほうがいいはずです。
もう一点、工務店や設計事務所の方に知っておいていただきたいのが、建物の検査との関係です。ハルビアの本国サイトには、新築物件の完成検査を通すために保護柵が求められる場合がある、という趣旨の記載があります。国内での扱いは物件の用途によって変わりますので、宿泊施設や店舗など不特定多数の方が使うサウナを計画されている場合は、設計の早い段階で所管の窓口に確認しておくと後戻りがありません。
保護柵にどの木を使うかは、見た目の問題ではなく安全の問題です。ハルビアが挙げているのは、テルバレッパ(黒ハンノキ)、アスペン、そして熱処理アスペンの三つ。いずれもサウナ室の中で過度に熱くならない木です。金属は触れた瞬間に熱が指へ伝わりますが、木は熱を伝えるのがゆっくりなので、高温のサウナ室でも素手で触れられる。この差が、柵という部材にとっては決定的に効いてきます。
このうち熱処理アスペンについては、当社でエストニアのサーモリー(Thermory)の建材を扱っています。約215℃の熱と蒸気だけで木を作り変える方法で、薬品を使わずに反りにくく割れにくい木にしたものです。岩手や東北の冬は、暖房の効いた室内と屋外の温度差が大きく、空気も乾きます。木が動きやすい環境ですから、動きの少ない熱処理材はサウナ室の造作全般におすすめできます。ベンチ材や羽目板と同じ材で柵をそろえると、部屋の表情も落ち着きます。
当社ではハルビア純正のガードを、機種別に十種類、価格つきで取り扱っています。ヒーター全体を囲うタイプは、電気サウナヒーター向けにデルタ3用のヒーターガード黒、キップ6/8ブラック用、スピリット6/9用、シリンドロ6用、シリンドロ10用、レジェンド125用、レジェンド15用。側面だけを囲うサイドガードには、電気式のシリンドロ6用に加えて、薪サウナストーブのエム3用、レジェンド150/240用があります。
純正品のいちばんの利点は、機種ごとに寸法が決まっていることです。汎用の柵を買ってきて幅を詰めたり、脚の位置をずらしたり、金物を足したりという工夫がいりません。ヒーターの丸みや脚の位置にそのまま合いますし、見た目もヒーター本体のデザインの延長として収まります。手を加えた分だけ強度や納まりが読めなくなる、という心配からも解放されます。
選ぶときのこつは一つだけ。必ずサウナヒーターの機種名で選ぶことです。同じシリンドロでも6と10では別品番になりますし、シリンドロ6には全体を囲うガードと側面だけのサイドガードの二種類があります。型式が分からないときは、ヒーター本体の銘板をご確認ください。
純正ガードのほかに、木の柵を造作でつくるという道もあります。D'STYLEは薪ストーブの専門店として長くやってきた工事会社で、造作も電気工事の手配もできます。ですからベンチと同じ材、同じ見付けで柵を組み、サウナ室の造作の一部として見せることもできます。純正の確実さを取るか、部屋との一体感を取るか。どちらも選べる状態でご相談に乗れるのが、施工まで一貫して手がける会社の強みだと思っています。
ハルビアの本国サイトには、デザインと安全性は相反するものではなく、うまくいけば互いを支え合う、という趣旨の一文があります。実際、保護柵はサウナ室の中でいちばん目に入る造作になり得ます。さらにハルビアは、柵にLED照明を組み込む案も紹介しています。足元がほのかに明るくなり、立ち上る蒸気やヒーターの表情が浮かび上がる。ただしサウナ室内は高温多湿ですから、照明はサウナ用として認められたものを、有資格者が設置することが前提です。
岩手の冬は、サウナにとってはごちそうのような季節です。氷点下の外気、雪の上に立つ足の裏、そこから戻るサウナ室の熱。盛岡でも県北でも、この落差はフィンランドに引けを取りません。ただ、その落差こそが足元をあやうくします。冷え切った足は感覚が鈍く、床は水と雪でぬれています。屋外のサウナ小屋なら、扉を開けた瞬間の温度差はさらに大きい。外気浴から戻ってヒーターの脇を通る、その数歩が実はいちばん気をつけたい場面です。
保護柵は、その一回のために立っています。ふだんは何も起こらない。起こらないことが正常です。それでも、あるとないとでは、家族に「入っておいで」と言えるかどうかが変わります。当社は岩手県盛岡市を拠点に、県内はもちろん秋田や青森のお客様のサウナ設置もお手伝いしています。凍結や積雪を織り込んだ設置計画も含めて、東北の冬を前提に考えるのが当たり前になっている会社です。
ヒーターガードは主役の道具ではありません。それでも、安心してサウナを楽しむための静かな下地になります。ハルビア純正のガードから機種に合う一台を選ぶのも、サーモリーの熱処理アスペンなどでサウナ室に似合う柵を造作するのも、どちらも良い選択です。お使いの、あるいはこれから選ぶサウナヒーターの機種名が分かれば、その場で適合する純正ガードをご案内できます。図面の段階であれば、柵の位置や高さ、ベンチとの取り合いまで含めてご相談ください。岩手県盛岡市のD'STYLEは、HARVIA正規代理店として、サウナヒーターの販売からサウナ室の造作、設置工事までを一貫してお引き受けしています。
記事で触れた商品は、当社で取り扱っています。適合機種のご相談も承ります。
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